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伊藤 沙也*; 栗田 伸之*; 田中 秀数*; 河村 聖子; 中島 健次; 伊藤 晋一*; 桑原 慶太郎*; 加倉井 和久*
Nature Communications (Internet), 8, p.235_1 - 235_6, 2017/08
被引用回数:76 パーセンタイル:94.06(Multidisciplinary Sciences)A spin-1/2 triangular-lattice Heisenberg antiferromagnet (TLHAF) is a prototypical frustrated quantum magnet, which exhibits remarkable quantum many-body effects that arise from the synergy between spin frustration and quantum fluctuation. The ground-state properties of a spin-1/2 TLHAF are theoretically well understood. However, magnetic excitations are less well understood and the theoretical consensus is limited. The experimental study of the magnetic excitations in spin-1/2 TLHAFs has also been limited. Here we show the whole picture of magnetic excitations in the spin-1/2 TLHAF BaCoSbO investigated by inelastic neutron scattering. Significantly different from the theory, the excitation spectra have a three-stage energy structure. The lowest first stage is composed of dispersion branches of single-magnon excitations. The second and third stages are dispersive continua accompanied by columnar continuum extending above 10 meV, which is six times larger than the exchange interaction J=1.67 meV. Our results indicate the necessity of a new theoretical framework.
大西 弘明; 堀田 貴嗣
AIP Conference Proceedings 850, p.1075 - 1076, 2006/09
最近、三角格子コバルト酸化物の超伝導が見いだされ、その特異な性質が注目を集めている。また、関連物質では磁気相転移が観測されているが、そうした多彩な振る舞いの起源として、三角格子上での軌道自由度の効果が盛んに議論されている。本講演では、三角格子上の軌道縮退ハバード模型の基底状態を、電子密度5.5の場合について、厳密対角化法によって解析した結果を報告する。まず、非磁性相では、三軌道のうち一軌道あるいは二軌道が完全に占有され、軌道自由度が部分的に抑制されることがわかった。また、隣接サイト間クーロン相互作用によって電荷秩序状態が安定化されるが、そこでは直線状に電化が整列したいわゆる電荷ストライプ構造を取ることがわかった。
吉井 賢資; 池田 直*; 中村 彰夫
Physica B; Condensed Matter, 378-380, p.585 - 586, 2006/05
被引用回数:39 パーセンタイル:80.61(Physics, Condensed Matter)電荷及び磁気フラストレーションを有する酸化物TmFeOの磁性と誘電性を調べた。磁化測定からは240K付近に鉄スピンのフェリ磁性が観測された。また、100K以下程度で、磁気構造が変化していることが示唆された。交流誘電率測定からは、3000程度の比誘電率、及び特徴的な誘電分散が見られた。これらの結果は、すでに報告されているRFeO(R:希土類)と同様の物性であることがわかった。
池田 直*; 大隅 寛幸*; 大和田 謙二; 石井 賢司; 稲見 俊哉; 加倉井 和久; 村上 洋一*; 吉井 賢資; 森 茂生*; 堀部 陽一*; et al.
Nature, 436(7054), p.1136 - 1138, 2005/08
被引用回数:829 パーセンタイル:99.77(Multidisciplinary Sciences)SPring-8の放射光を用いた共鳴X線散乱実験,焦電気測定及び誘電分散測定により、混合原子価鉄イオンを含む複合酸化物LuFeOは、全く新しいカテゴリーに属する強誘電体であることがわかった。本系では、三角格子上において、鉄イオン間に電荷相互作用のフラストレーションが存在する。このフラストレーションは、2価と3価の鉄イオンの長周期電荷秩序構造を安定化し、その結果として、電子の密度分布変調による誘電分極を発生する。この強誘電発現機構は、基礎科学的に興味深いだけでなく、電荷・スピン・軌道といった電子の自由度により制御された、次世代の強誘電デバイス開発の可能性をも提供する大きなインパクトを持つものである。
Chung, J.-H.*; Proffen, T.*; 社本 真一; Ghorayeb, A. M.*; Croguennec, L.*; Tian, W.*; Sales, B. C.*; Jin, R.*; Mandrus, D.*; 江上 毅*
Physical Review B, 71(6), p.064410_1 - 064410_11, 2005/02
被引用回数:77 パーセンタイル:90.31(Materials Science, Multidisciplinary)LiNiOは、これまでS=1/2の三角格子系としてよく研究されてきたが、そのスピン相関に関してはまだよくわかっていない。そこではヤーンテラー効果による軌道状態も問題となるが、これまで長距離の格子歪みは見つかっていない。今回これまで行われたことのない幅広い実空間での結晶PDF解析を行うことで、短距離から長距離までさまざまな格子歪みが見つかった。この結果は10nmのドメインを持つナノ構造軌道秩序モデルで説明される。この局所的な軌道秩序状態が基となって、複雑な磁気特性が現れていると思われる。
池田 浩章*; 西川 裕規; 山田 耕作*
Journal of the Physical Society of Japan, 73(1), p.17 - 20, 2004/01
被引用回数:52 パーセンタイル:84.72(Physics, Multidisciplinary)次最近接積分までを含む2次元三角格子ハバードモデルを用いて、電子数,次最近接積分を変化させた時に、どのような超伝導対が有利になるかを3次摂動論,スピン揺らぎ交換機構(FLEX)を用いて調べた。その結果波超伝導対がパラメータの広い範囲で有利になることがわかった。またvertex補正項も考慮した方が、波対に幾分有利になることが明らかになった。これらの結果から最近発見された水和コバルト酸化物超伝導体の超伝導機構について考察を加えた。その結果、水和コバルト酸化物超伝導体の電子構造の特徴に近いパラメータ領域では波対が有利になっていることがわかった。
稲見 俊哉*; 網代 芳民*; 後藤 恒昭*
Journal of the Physical Society of Japan, 65(8), p.2374 - 2376, 1996/08
被引用回数:66 パーセンタイル:95.45(Physics, Multidisciplinary)三角格子反強磁性体RbFe(MoO)とCsFe(SO)を合成し、その強磁場磁化過程を測定した。その磁化過程は、飽和磁化の丁度1/3のところに異常が現れるもので、弱いIsing型の異方性を持った2次元三角格子反強磁性体に特徴的なものであった。
舩橋 達; 鬼頭 聖*; 秋光 純*; 飯田 潤二*; 田中 翆*; 白鳥 紀一*
Physica B; Condensed Matter, 174, p.74 - 76, 1991/00
被引用回数:1 パーセンタイル:10.68(Physics, Condensed Matter)ErFeOは、RFeO型の希土類鉄酸化物の一つであり、2価と3価の鉄が等価な位置に混在し特異な二次元磁性を示す。今回新たに調べたErFeOは、イオン半径や磁性のふるまいから、これまでにかなりよく知られているLuFeOとYbFeOの中間の性質が予想された。中性子回折の結果から、この物質はネール点直下ではかなりよい二次元性を示すが低温では三次元秩序に転移することが明らかになった。低温では磁気的に非整合性を示す傾向があるように見られるが、これを明確にするには高分解能の実験が必要である。
野村 靖; 下桶 敬則; 山川 康泰*
JAERI-M 9079, 45 Pages, 1980/09
モンテカルロ法コードKENO-IVと原研で新たに開発整備中の多群定数ライブラリーMGCLとの組合せにより、軽水タンク内のプルトニウム富化燃料棒の三角格子配列に関する臨界実験データを用いて、ベンチマーク計算を実施したので報告する。これは、KENO-IVコードとMGCLライブラリーとの組合せによる多種多様な臨界安全実験データを用いた広範囲なベンチマーク計算プロジェクトの一環として実施されたものである。Al-Pu合金あるいはUO-PuO混合酸化物の燃料棒を用いた軽水減速三角格子配列に関する実験データは全部で28ケースある。このうち格子ピッチが1.9cmより大きい体系あるいは軽水中にボロンが含まれていないか含まれていてもその量が僅かである体系は22ケースあり、実効増倍率keff計算値は平均値が0.991で標準偏差が1.4%となった。残りのケースのkeff計算値は1.0からの偏差が大きく、これからの検討課題である。
中島 健次
no journal, ,
の三角格子Heisenberg反強磁性体(TLHAF)は、フラストレートした量子スピン系の典型的な舞台として、理論、実験両面で多くの研究の対象となっている。スピンのフラストレーションと量子効果が引き起こす多体効果は、その基底状態のみならず、磁気励起の様相にも新奇な現象を引き起こすことが期待される。その一方で、その理論的な予測や理解に十分な結論が得られているとは言い難い。そのような中で、我々は、BaCoSbOが極めて理想的なのTLHAFであることを見い出し、この系について中性子非弾性散乱測定を行い、その磁気励起の詳細な全容を実験的に得た。